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<尖閣国有化の方針>中国にらみ次善の策
毎日新聞 7月8日(日)11時18分配信


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尖閣諸島の位置
 野田佳彦首相が、東京都の石原慎太郎知事に背中を強く押される形で尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化に動いた。政権浮揚の思惑があるが、中国への挑発的な言動を繰り返す知事ではなく国が関与することで日中関係への悪影響を抑えようとする判断も働いた。しかし、地権者側は国への政治不信などから売却に慎重で、知事も首相官邸の動きに「粗雑だ」と反発する。中国や台湾は国有化方針を強く批判した。

【写真で見る・尖閣諸島周辺】監視を淡々と続ける海自P3C

◇首相、政権浮揚思惑も

 首相が石原知事の尖閣購入案を初めて聞いたのは、3月9日の官邸での会談だった。知事とも旧知の長島昭久首相補佐官が同席。知事は(1)まず都が購入(2)その後、国に売却する−−との2段階での国有化を提案した。しかし、消費増税問題に忙殺されていた首相の関心は低く、側近によると首相は色よい返事をしなかったという。

 官邸が動き出したのは、知事が4月16日に購入計画を表明してからだ。首相は同月18日の衆院予算委員会で「政府は島の所有者とも連絡を取ってきた。真意を改めて確認し、あらゆる検討をしたい」と、国有化に含みを持たせた。国が所有することが最も安定的な保全につながることから、長島氏は「国が購入すべきだ」と首相に強く進言し、知事とも協議してきた。

 尖閣諸島を賃借している国は、尖閣諸島への立ち入りを禁じているが、都に所有権が移れば石原知事らが構造物を建築するなど挑発的な行動に出ることも想定される。そうなれば、日中関係はさらに悪化する。「知事側が買い取るよりも国が買った方が、中国との関係は最善ではないが、よりましではないか」(外務省幹部)との思いも政府にはあった。

 一方、共同通信によると鳩山由紀夫元首相は7日、北京で国有化方針について「日中関係には今、信頼関係がない。慎重にやらないといけない」と述べ、冷静に検討すべきだとの考えを示した。

 官邸には、都主導で購入交渉が進めば、政権への「弱腰」批判が強まるとの懸念もあった。消費増税や関西電力大飯原発の再稼働など国民に不人気な政策を進め、内閣支持率が低迷を続ける中、尖閣国有化は国民の支持を得られるのではないかとの打算も働いた。

 首相周辺は「秋ごろまでにまとめ、政権浮揚につなげたい」と語り、次期衆院選を意識していることも示唆する。ただ、別の側近は「日中国交40周年記念行事がある秋にぶつけるわけない」と語り、年内は困難との見通しを示すなど、政権内部のスケジュール感は統一が取れていない。

 国有化手続きも課題が多い。自民党関係者によると、同党の首相経験者が昨年「国に売ったらどうか」と話を持ちかけたところ、地権者は「民主党政権の間は売らない」と語ったという。知事は、地権者の理解を得てスムーズに進めるために2段階売却論を主張する。

 東京都には購入のための寄付金が約13億2500万円集まっているが、国有化の場合の使い方について、首相側近は「それも分からない。分からないことだらけだ」と述べ、まだ具体的検討ができていないことを明かした。【小山由宇、飼手勇介】

◇中国世論、強く反発

 日本政府が尖閣諸島(中国名・釣魚島)を国有化する方針を固めたことについて、中国外務省は7日の談話で「中国政府は引き続き必要な措置を講じ、断固として主権を守る」と表明した。だが、具体的な措置には言及せず、批判のトーンはこれまでとほぼ同じ内容に終始した。

 これに対し中国国内では反発が強まっている。7日は日中全面戦争の発端となった盧溝橋事件から75年に当たり、各地で抗議集会や行事が催された。インターネット上では日本の国有化方針に「外務省や国防省は何をしているのだ」といった書き込みが相次ぎ、武力行使や日本製品ボイコットを求める意見もみられた。

 日中関係に詳しい劉江永・清華大教授は「日本政府が国有化に乗り出すとなると問題は新たな段階に入る。中国政府としても今までの対応では済まないだろう」と警告する。

 一方、台湾紙「聯合晩報」は7日、台湾行政院(内閣)海岸巡防署(海上保安庁)の王進旺署長が9日から予定していた定例の訪日を延期したと報じた。延期は「日本側が決めた」として、同署の巡視艇が今月4日に日本の領海に侵入したことが理由とみている。【北京・成沢健一、台北・大谷麻由美】

◇「人気取り」都知事冷淡

 「物事ってそんなに簡単に進むものじゃない。そのへんが粗雑だよな」。尖閣諸島の所有は「本来、国がやるべきだ」と繰り返して語ってきた石原知事だが、今回の野田政権の動きを冷ややかに受け止めている。

 石原知事によると、6日に都庁を訪れた長島首相補佐官らがその後、地権者に連絡し、初めて国の購入意向を伝えた。その経緯を地権者から聞いたという石原知事は「(連絡は)たぶん電話でしょう。電話1本で済む話じゃない」と対応を非難。野田政権が急に国有化を決めた理由も「人気取り。民主党そのものが混迷している」と批判した。

 尖閣諸島の購入は石原知事にとって「久々のホームラン」(都幹部)。新党結成など政界再編への意欲をにじませる中、多くの支持を集めた尖閣問題の主導権を民主党政権に握らせまいとする姿勢もうかがえる。

 都がまず尖閣諸島を買い上げ、その後国に譲渡する提案をした石原知事だが、問題になりそうなのが5日時点で13億円を超えている寄付金の扱い。都の歳入になっており、国に譲渡する際は都議会の承認などの支出手続きが必要だ。また国への譲渡について寄付者一人一人の賛同を得るのも事実上不可能とみられ、寄付金は宙に浮く恐れがある。都幹部は「国に所有権を移す場合の論点を早急に詰める必要がある」と話す。【佐々木洋、清水健二】

◇尖閣諸島問題をめぐる経過

1895年 日本政府が現地調査で清国の支配が及んでいないと確認。日本領への編入を閣議決定

1951年 サンフランシスコ平和条約で米国の施政権下に置かれる

  53年 中国共産党機関紙「人民日報」が「尖閣諸島は日本の琉球群島の一部」と紹介

  69年 国連調査で尖閣周辺の海底に石油資源埋蔵の可能性

  71年 台湾が公式に領有権を主張

    日米両国が尖閣を含む沖縄返還協定を締結

    中国が領有権を主張する声明を発表

  72年 尖閣諸島を含む南西諸島の施政権が日本へ返還される

  78年 右翼団体が魚釣島に「灯台」設置

  92年 中国が自国領と明記した領海法を制定

  97年 西村真悟衆院議員(当時)らが上陸。石原慎太郎元運輸相(同)も船上から見守る

2002年 総務省が「安定的な管理」のため、尖閣諸島の3島を地権者から借り上げ契約

  04年 中国の活動家7人が上陸。沖縄県警が逮捕し、強制送還に

  10年

   9月 尖閣沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突。海保は船長を逮捕後、処分保留で釈放

  11月 海保が撮影した衝突事件のビデオがネットに流出。海保職員が自身の行為と認める

  12年

   4月 石原慎太郎東京都知事が尖閣諸島の一部の購入を表明

藤村修官房長官が政府による購入・国有化に言及

   5月 野田佳彦首相と中国の温家宝首相が首脳会談で、尖閣問題をめぐり応酬

   6月 都の購入計画に懸念を示した丹羽宇一郎駐中国大使を日本政府が注意

   7月 日本政府による国有化方針が表面化

◇尖閣諸島とは

 石垣島の北約170キロの東シナ海にある無人島群で、魚釣島(うおつりじま)、北小島(きたこじま)、南小島(みなみこじま)、久場島(くばじま)、大正島(たいしょうとう)の五つの島と岩礁からなる。明治政府が1895年の閣議決定で正式に日本領土(沖縄県)に編入した。政府から大正島を除く4島を無償貸与された民間人が、一時はカツオ節工場を経営。その後、4島の払い下げを受けたが、戦後に今の地権者へ譲渡した。国有地は大正島だけで、他の4島は政府が地権者から借り上げている。このうち購入計画の対象となっている魚釣島、北小島、南小島の3島は来年3月に賃借契約が切れる。

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最終更新:7月8日(日)12時0分










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